好きなスポーツがあります。
野球とバレーボール。

野球はいつも見て楽しんでいます
でもバレーは自分でプレーしてみたい。たまに、そんな思いにかられます。



私の出身中学のバレー部は全国大会に出場するほど強く、
中学時代から興味があったのですが、
なかなか一歩を踏み出すことが出来ず、バレー部には入りませんでした。


しかし、中学時代の友達にはバレー部の友人が多く、
話題はバレーのことばかり。
おまけに、中学３年生の時は、
バレー部の鬼顧問の先生が担任になりました。
ホームルームまでもバレーの話ばかりでした。

鬼顧問の先生は、私が卒業した後も、
何年かバレー部を全国大会へ導き、
その後、別の中学校へ移られ、次の中学校でも
全国大会へ導かれていました。
そうです。バレー界では有名なカリスマ監督です。

話はかわりまして
先日、夏休みをとって実家に帰ってきました。

私の兄の息子、つまり甥。
今年から中学生、しかも私の母校に通う中学生になったということで、
いろいろと話をしていました。
彼の話によると･･･。


「そーか　バレー部に入ったのかー」

「へー　今は強いの？」

「えっ　去年までバレー部自体がなかったって？」

「おっちゃんの頃は強かったんやでー　
　　そーかー　あの後なくなっちゃったのかー･･･」

「じゃあ　復活一期生やな　ちゃんと顧問の先生いるの？」

「なに？顧問の先生が頑張って作ったって？　へー　好きな先生やねんね」

「そんなに怖い先生なんやー･･･　もしかして名前は？」




そうです。私の３年生の時の担任。
鬼監督が私の母校に帰って来ていたのです。
そして、消滅していたバレー部をまた一から作り始めていたのでした。

次の日、甥っ子が練習に行くと聞き、
母校の体育館に向かいました。

おそるおそる体育館の重いドアを開けると･･･



いました！
基本的な練習しか出来ない１年生集団のバレー部に
ゲキを飛ばす鬼監督の姿。
２０年前と同じ姿でした。

おそるおそる近づいて行き、
「すいません。部員の家族ですが見学させてもらって宜しいでしょうか？」
と尋ねました。
話しかけながら、私が教え子だと思い出してもらえることを期待したのですが、
やっぱりそれは無理でした。

「それはそれは　どーぞどーぞ」
父兄の人にはやさしいんだなーと思いながら
しばらく甥っ子の練習を観察して



「実は私、先生の教え子なんです」
とカミングアウトしたら、
「なーんや　まあ座らんかいなー」
と中学時代にはのぞくことも許されなかった体育教官室へ


いろいろと同級生の話で盛り上がり
その後の先生の活躍で盛り上がり
中学時代は怖かったですよー話で盛り上がり

でも、でも





私のことは覚えていなかった･･･。




いろんなエピソードを話しても

「そんなことあったかなー」
全く覚えていなかった･･･。


話をかえて、今の自分の仕事のこと、
甥っ子のことで盛り上がり、
そろそろ退散と立ち上がったところで







鬼監督先生が
「おまえ、たしか公立高校の入試落ちたよな」






覚えてくれていました!!
名前も出来事も覚えてくれていなかったけれど、
受験失敗という記憶だけは覚えてくれていました。


むしょうに嬉しい。
先生はバレー部だけではなく、
担任したクラスでも、ちゃんと生徒と一緒に戦ってくれていたんですね。
だから受験の結果だけが頭に残っていたんですね。
名監督は名先生でもあったわけだ。


さわやかな気分で体育教官室を後にしました。
体育館では２０年前見た光景と同じ熱い光景が広がっていました。
チームも甥っ子もこの名監督に
きっとたくましく育ててもらえるにちがいない。
そんな風に思えました。






ただ別れ際に、名監督
「いやぁ　俺がこの学校で担任したたくさんの生徒の中で、
公立高校失敗したのお前だけやから、よーく覚えてるんやぁー」


先生、･･･その言葉は･･･あまり･･･聞きたくなかったっす･･･。