2009年09月10日

「地域で働く」

母校で講演をしました。
「地域で働く」
「地域で働く」という授業の一環でした。
私の母校は、私が在籍したころから名称がかわり「兵庫県立大学」となっています。

講演開始時間より早く到着したので
12年ぶりにキャンパスをうろちょろし、感慨にふけってしまいました。
あの頃、私は何を考えて勉強していたんだろう。
勉強して何になりたかったんだろう・・・。
そして、今日、後輩に何を伝えるべきなのか・・・

悩んだ挙句、私は用意していた講演内容を全部変更することにしました。
いろいろとメッセージを伝える中で
学生時代の私のとあるアルバイトに触れました。


訳あって生活費を自分で稼がなくてはいけなかった私は
スイミングスクールのインストラクターに
塾講師、予備校講師。携帯電話ショップの店員に住宅リフォームの営業。
大学の授業に行きながら、必死にアルバイトをしました。

でも、もっと短時間で、時間帯も融通も利く方法でお金を得ることはできないか
と毎日考えていました。
4年生がどんどん卒業の準備をしていく、冬のことでした。
4年生の一人の友人が私に
「この冷蔵庫いらない? 
俺、実家に戻るからいらないのだけど・・・」

私は、その冷蔵庫をもらいました。
もちろん、自分でも既に1人暮らし用の冷蔵庫を持っています。
邪魔になっただけのもう一つの冷蔵庫を眺めながら
私はあるアイデアが思いつきました。

用のない冷蔵庫に、洗濯機、こたつに電子レンジ
1人暮らしグッズは大学を卒業していく人たちにとっては悩みの種なのかな。
だったら・・・。



次の日から
「学生生活で使った家財道具、引き取りに行きマース!!」
のチラシを作り、卒業生に配って回り・・・
知り合いの工務店のトラックを夜だけ貸してもらい
郊外の使っていない倉庫を貸してもらい
次から次へと、連絡をもらった友人の家財道具をトラックに積んでは倉庫に運び
友人が友人を紹介してくれ、毎晩休む間もなく運搬作業。
そんな日々を繰り返し
1ヵ月後にでっかい倉庫が満タン。


それから毎晩 家財道具の大掃除。
磨いて磨いてひたすら磨いて
磨いたものを写真に撮って、アルバムにして
そのアルバムを4月の入学式に
持って行って新入生の親子に、見せて回りました。
「怪しい者ではありません。ここの学生です。
  もし良ければ先輩の使った家財道具使いませんか?
   長くは使うものではありませんし・・・」



もちろん、費用としてお金もいただきました。
充分なアルバイト代にもなりました。
でも、そのことよりも嬉しかったのは、

私に家財道具をくれた同級生たちが
運んだり処分したりする手間が省けたと喜んでくれたこと。

私から買った新入生の親子たちも
安心できる相手から安く家財道具が買えた、
何か学生生活中に困ったことがあったら相談できる先輩が出来た
と喜んでくれたこと。

なんと、買ってくれた後輩学生のひとりは、今でも友人として付き合いがあるのです。



「働く」とはこういうことだ。
と感じた瞬間でした。

きっかけはお金かもしれないけれど、
「働く」とは周囲の人たちみんなに喜んでもらえることなのです。
ビジネスチャンスはみんなのすぐ近くにいっぱい転がっています。
企業家にならなくても、サラリーマンでも自営業でも

周囲にどんな人がいて、
どんなことに困っているか、
どんなことをしたら喜んでもらえるか
このことに目を向けようとしない人は何をやってもうまくいきません。

「地域で働く」とは「働く」ということの一番の基本なのです。
是非、一度あなた方の地域に目を向けてみてください。


12年前の私は演台の向こう側で授業を聞く側でした。
今回の教室は、12年前、実際に私が授業を受けていた教室でした。
私は後輩に偉そうに話をしながら、
いつの間にか、12年前の自分自身に話かけていました。

 「君のおかげで、今の私があるのだろう。
  ありがとう。 そしてがんばってね」

Posted by やまさん at 14:54│Comments(4)
この記事へのコメント
「地域で働く」事に今ちょっと考えさせられ、おれそうになっていました。(>_<)
もう一度、ゆっくり考えるいい機会をいただきました♪ありがとうございます♪
Posted by たんぽっぽ at 2009年09月10日 17:15
どこの風景かと思えば、我が母校…

「働く」…「人を動かす」って書きますもんね!?
明日はしっかりと働いてきます(・へ・)
Posted by ごぉ at 2009年09月11日 00:22
色々悩んでいる私には心にグサっと来る言葉でした。
今の私は、自分が今まで何のために生きて着たのか正直分からなくなっていました。
きっかけは私が最も大切に思ってきた人たちから裏切られた事で自分のしてきた事が分からなくなったのです。
これから先一生恨んでやるそう思っていました
地域で働く事・人に喜んでもらえる仕事・・・
読んでいて涙がこぼれました
もう一度自分の事周囲の事考え直してみたいと思います。
良いことを書いて下さって有難うございます。
Posted by 通りすがり at 2009年09月12日 18:53
どこでどう働くかは、どこでどう生きるか。ということにつながっているのかもしれないですね。

今のやまさんがいらっしゃるのは、この頃のやまさんがしっかり土台として存在しているからなんですね♪
Posted by あーちゃん at 2009年10月09日 10:34
 
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