さあ、とうとう “挑戦の軌跡　第3弾”です。
必ず、第1弾、第2弾を読んでから、今日の記事を読んでくださいね。



ななくんのリタイアという事件をエネルギーに変換し
見事ゴールにたどり着いた、チャレンジウォーク隊。
最後の最後、解散式でのお話でございます。


保護者や関係者のクラッカーと拍手と歓声の中、
チャレンジウォーク隊が入場しました。

1週間ぶりに会う家族の笑顔を見て、
隊員の、挑戦でたくましく変化した顔も、ちょっと子どもらしく戻った感じです。
お父さん、お母さんの本当にあたたかい笑顔。
おじいちゃん、おばあちゃんの理由もわからずただ喜んでいる顔。
弟、妹たちのうらやましそうな顔。

家族はもちろん、たくさんの支援者の顔を見つけました。
しかし、隊員はそのたくさんの顔の中で
思いがけない顔を見つけました。

思いがけない顔…。
それはななくんでした。




2日前に途中リタイヤしたななくん。
解散式に駆けつけてくれていました。
いろんな葛藤があったでしょうに。


しかし、驚いたのはななくんの顔だけではなく、
ななくんが手に持っていたもの。

それは
松葉杖でした。



彼は足をひきずって限界まで歩き、リタイヤ
その後、念のため病院に行って診察を受け、
骨や筋には異常はないが、
ゆっくり足を休めるために
大事をとって1週間ほど固定しておこうということでした。



達成した隊員達、途中リタイヤしたななくんが
涙で握手しあったそのときの光景を私は忘れることが出来ません。

そして、その後ななくんのお父さんが私にしてくれた話も…。


　　　　「やまさん、あのリタイヤしたあの後ね、
　　　　なながまだ足が痛そうだったものだから
　　　　病院へ行こうって言ったんですよ。
　　　　でも、大丈夫だから行かないって言ってきかないんですよね。

　　　　次の日もまだ足が痛そうだったので、
　　　　やっぱり病院へ行こうって言ったら
　　　　こんなことを言いました。
　　　

　　　　　　『ぼく　病院で診てもらったから大丈夫やねん』

　　　
　　　　何科のお医者さんに診てもらったのだろうと思って
　　　　病院の名前を聞いて探したんですが、
　　　　パソコンで調べても、電話帳をめくっても見つからないんです。

　　　　でね、もう一度病院のこと詳しく聞いたら
　　　　ちゃんと教えてくれました。
　　　　それで、やっとわかったんですけどね。
　　　　ほんと、とんだ病院ですよ。



　　　　えっ、ななが言った病院の名前ですか？
　　　
　　　　
　　　　ななはね、
　　　　“山崎病院”って言うんです。
　　　　でも山崎町の病院ではありませんでした。


　　　　あなただったんですよ、やまさん。
　　　　
　　　　ずっと、ななの足をマッサージしたり、
　　　　湿布をはったり、テーピングしたりしてくれてたみたいですね。
　　　　
　　　　なながあそこまで歩けたのもやまさんのおかげです。
　　　　本当にありがとうございます」



私はななくんの固定された足をさわりながら

　　　　「ななくん　やまさんはお医者やあらへんで
　　　　だからちゃんとしたお医者さんに診てもらって
　　　　きちんと治さなあかんで
　　　　
　　　　でも、やまさんでよかったら来年もマッサージや湿布してあげるから
　　　　来年もう一度チャレンジしよう」

　　　　「うん　絶対する」

ななくんは一言そう言って、
みんなの輪の中に走っていきました。

走って？
そう、松葉杖を置きざりにして、楽しそうに走りながら…。


その場には、
「ほんとにもう…」とつぶやきながら微笑むお父さんと
にじんだ涙をかくそうとする私が残されました。