2007年12月29日

また来るね

2007年最後のお仕事は
子ども達のキャンプの指導でした。

野外クッキングにキャンプファイヤーにウォークラリーに・・・
あっという間の2泊3日でした。
中でも、
子どもも大人も楽しめるプログラムで、その名も『大捜査線』
これは純粋に楽しみました。

夜に広大なキャンプ場全体を使って行ういわゆる「けいどろ」です。
(※一部地域では「どろけい」や「たんてい」と呼ばれています。鬼ごっこの一種ですね)
大人が泥棒役、子どもが警察官役で
真っ暗な夜に、大人を探して捕まえにいきます。
手にはトランシーバーを持ちグループに分かれ捜査に出かけます。
大人の半数以上捕まえれば子ども達の勝ち。

夜のキャンプ場を走りまわるのですから、
子どもも大人も、もう楽しくて楽しくて。
恒例のキャンプで恒例のプログラム。今年で3回目。



しかし、今年は今までの2回と少し違っていました。
子どもの参加者40人の中に 車椅子の子が一人いたのです。

この『大捜査線』。
子どもの役目は、走っている大人を捕まえるのですから
車椅子ではなかなか捕まえられません。


私はこのプログラムを行う前にかなり悩んでいました。



「このプログラムをやめて、
  車椅子でも参加できるプログラムにした方がいいのではないか・・・」



『大捜査線』だけではありません。
ウォークラリーも野山を歩き回ります。
段差どころか、岩や倒木がゴロゴロ。
車椅子では到底無理です。


「全てのプログラムを考え直そうか・・・」
と悩んでいるところで、
とある障害者福祉関係の先生の言葉を思い出しました。
要約すると以下のとおりです。


『私がかつて勤務していた施設で、地元の調理師さんグループが、
障害のある方はなかなか一流の料理を食べる機会がないだろうから、
施設に出かけていってお料理を提供しましょうというボランティアがありました。

施設の食堂では狭いので、体育館に卓球台を並べ、
テーブルクロスの代わりに敷布をひいて、
そこで一流の料理をいただくのです。

わたしは、このイベントがどうしても好きになれませんでした。
もし、本当に一流の料理を提供していただけるなら、
たとえ1回に呼んでいただける人数が少なくても、お店に呼んでいただいて、
本当の一流の料理を提供していただきたかったです。

ある美容室では毎年美容ボランティアが行われています。
障害者向けの美容ボランティアはそれほど珍しいことではありませんが、
この美容室のサービスがすばらしいのは、
多くのそれが障害者施設に出向いてされるのに対して、
その美容室に招待していただけるという点です。
つまり、本物の美容室で、プロの美容師さんにカットやブロー、毛染めをしていただけるのです。

これこそが「ノーマライゼーション」です』




聞いたときは「ふーん」ぐらいにしか思っていませんでしたが
私もこのキャンプで自分も同じ立場にたたされていることに気づきました。





結局、当初の予定通りのプログラムを行いました。
『大捜査線』も『ウォークラリー』も二人の介助ボランティアの大学生の活躍によって
全ての子どもが楽しんで参加することが出来ました。



本当にやってよかったのかどうかは私にはわかりません。
ノーマライゼーションについても私はよくわかっていません。



でもその車椅子の子は別れ際に


「また来るね」
と私に言ってくれました。
それだけで充分です。




キャンプ終了後、大人のミーティングで
車椅子の子を担当した大学生が言いました。

「最初はなんてことさせるんだって正直思いました。
  でも、本当にやってよかった
   私自身、障害者という人を見る目がかわったような気がします」




私も言いたい
 「かわったのはあなただけでなく、私もですよ」
同じカテゴリー(未分類)の記事画像
贈り物
ゴールの向こう側
でっ でかっ!
同じカテゴリー(未分類)の記事
 明日は大阪講演~♪ (2013-07-01 11:12)
 贈り物 (2009-04-15 19:07)
 ゴールの向こう側 (2009-04-09 16:45)
 でっ でかっ! (2009-02-25 17:53)
 こんな言葉いかがですか (2009-02-24 18:16)
 やまさんのおすすめ (2009-02-10 22:52)

Posted by やまさん at 14:19│Comments(2)未分類
この記事へのコメント

TITLE:
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
 本当のノーマライゼーション。私も、仕事柄色んなケースに遭遇し、相談を受けることが多いのですが、ボランティアも当事者の方も相協力して、一つのことが実現して、互いに達成感があることができれば最高なんですが・・・・。
 後者の美容室のボランティアの話、理美容に関しても、多くの施設の方が心待ちにしているんですよね。仕事とは言えど、その間を取り持てた時は、少し嬉しくなります。
 一度、ご一緒に「心のバリアフリーキャンプ」をやってみたいですね。
 今年一年何かとお世話になりました。また、2008年もよろしくお願いします。
Posted by 親方 at 2007年12月31日 12:36

TITLE:
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
親方さん

あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

まだ私もよくわかっていません。
またお仕事ご一緒しましょう。
Posted by やまさん at 2008年01月07日 19:29
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。