コピー機のトナーがなくなったら、よーく振ります。
振ったらまたコピーできるようになるんです。


事務仕事する人、したことある人ならこれ常識。
今日もうちの事務所のコピー機のトナーがなくなり、
スタッフがトナーを取り出して振っていました。

ふと、以前アルバイトしていたお店のことを思い出しました。
私は実は以前、携帯電話ショップの店員をしていたことがあるんです。
そこでの店長がね・・・

店長は、もともと力仕事系の建設業出身。
私が全くお金のない時代に、いつもご飯を食べさせてくれた兄貴分みたいな人です。

携帯電話買う時には、身分証明書が必要ですよね。
店員は確認してコピーとるじゃないですか。
あれって、しっかり確認するためにわざと奥にコピー機を置いて
「コピーをとらせていただきます」なんて奥に持って行って
ゆっくり身分証明書を確認するんです。
目の前ではジロジロ見れないですもんね。

ある日、私は一人のお客さんの接客をしていました。
そのお客さんには購入、契約していただけることになりました。
身分証明書をお預かりし、奥にいる店長に渡し、コピーを頼んだところ、

店長が「山崎くん　コピー機のトナーがなくなりました。どうしたらいい？」
普段は女性のＡさんがやっている仕事なので勝手がわからないようです。

私は「振ってもらったらまたコピーできるようになりますよ」
と申しました。
すると数分後、無事コピーできた身分証明書は返って参りました。

問題はそのお客さんが帰ったあとです。
「山崎君、いつもあんなことＡさんやってるのか？　すごいな、大変やろう。今度から私がやるからトナーなくなったら私に言いなさい」

なくなりかけたトナーはすぐまたアラームがなります。
それは数日後、私がコピーを取るときでした。
「店長トナーなくなりました」
と約束通り店長を呼びました。
「よーし　任せなさい」
と意気込んで振りはじめました。

しかし振ったのは、
コピー機内部のインクの入っているトナーと呼ばれる部品ではなく
５０キロ以上はあろうかという
業務用のコピー機の本体を抱えて振っておられました。
汗だくで。

私の伝え方の未熟さに反省するとともに
その店長のパワーのすごさと純粋さに驚かされました。

今も事務所のコピー機のトナーがなくなると
そのことを思い出し、意味なく笑ってしまう私でした。