2006年04月22日

技術屋の心眼

すいません…。長い間さぼってしまいました。
いつの間にか読んでる人も減ってしまった…。

久しぶりのくせして、
今日の話は真面目すぎて面白くなく、しかも長いときていますが、
優しい人は最後まで読んでくださいね。

今日は、私が大学生だったときのお話。
私は、こんな仕事していますが
最終学歴は「工学部 機械工学科卒」なんです。

大学の途中で、青少年活動だ野外活動だなんて燃えてしまって
ろくに勉強しなかったんで、あんまり覚えてる知識もないんですがね、

ひとり忘れられない先生がいるんですよ。
工学部はね、4回生になると研究室といって
教授か助教授もしくは助手の先生の、
誰かひとりにぴったりくっついて、実験して論文を書くんです。

でも、私の忘れられない先生は
その担当の先生ではなく、隣の研究室の先生。
名前を藤原良樹教授といいました。
金色のおしゃれな懐中時計をズボンのポケットに忍ばす
すごく粋な教授でした。

藤原教授は、私の発表の時の試験官でした。私が
「それではただいまより、第三講座研究室卒業研究生山崎が発表します」
と言ったら、
「ちょっと待ちなさい。あなたは何の為にこの研究をしてるんですか?」
答えられないでいると
「君が卒業後やりたいことは何なのかね?」
また難しい質問。勇気を振り絞って、社会教育の世界に行きたい旨を伝えると、
「何故? どんな?」から始まり、
ずっと「それで?それで?」と私の話を聞いてくださいました。
全然、研究内容には関係のない話です。子どもの話や野外活動の話ばっかり。

「先生、研究発表はいいんですか?」と聞くと
「あなたにはこの問題の方がずっと大事なんでしょう?
卒業研究はね、内容よりも何故研究するかということが大事なんです。
内容は後で聞きますから」

と、30分の予定が2時間かかり、
結局、研究内容については3分ほど原稿を読んだだけ。
藤原教授は機械工学とは全然畑違いの業界に行くことを否定せず。
「見つけたのなら、がんばりなさい」

藤原教授、今だから言いますが、
実は教授に話を聞いてもらったあの日に
この世界に進むことを決心したのですよ。

何故、最近突然藤原教授のことを?
それは、教授のある日の講義を思い出したんです。

私が訳した本でね、技術者を目指す皆に是非読んでもらいたい本がある。
 これからね、機械の世界は今よりもっとコンピュータで
 何でも自動化されるだろう。マニュアル化もされるだろう。
 そこで、忘れちゃいけないことは
 技術者としての『勘』だよ。
 設計する時も、数値やコンピュータだけを信用せずに、
 これぐらい必要だろうとか、
 これじゃあもたないなあとか、
 経験を積んで、自分の勘を育てていきなさい。
 マニュアルだけに頼らずに、自分の勘とも相談しなさい。
 きっと役に立つ時が来る。私は本では、その勘を『心眼』と訳したよ。」

当時何気なしに聞いたこの講義だけが、
何故心に残っているのかは、わかりませんが、
ちょうどあの尼崎の鉄道事故から1年たったというニュースを見て、
最近やけに思いだすんです。

藤原教授、今になって言いますが
機械相手だけじゃないですよ、人相手の教育でも同じです。
自動化したら相手に伝わらないし、
マニュアルなんて出来ません。
すいません。そんなこと、釈迦に説法ですよね
私の研究発表の時もわかってたから、あんなに話を聞いてくれたんでしょうね。

もうこの記事を読むことのない藤原良樹教授に
今更ながらですが、感謝の気持ちを込めて。
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Posted by やまさん at 20:06│Comments(0)未分類
 
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